因数定理の威力をさぐる


/剰余定理・因数定理の解説/

17を2,3,5という素数を使って表すと、

1

この式は次のように解釈できる。

17を3で割ると商が5で余り(剰余)が2となる。

この考え方はx の整式でも適用できる。

例えばA\left(x\right)xの3次式、B\left(x\right)xの2次式とすると

次数でいえばA>B(3次と2次)だから

A\left(x\right)B\left(x\right)で割ることができる。

そのときの商をQ\left(x\right)、余りをR\left(x\right)とおくと、

2

と表すことができる。(①との対応を見て欲しい。)

ここで大事なことはR\left(x\right)の次数はB\left(x\right)が2次式であることから最も高い次数でも1次式となる。
(高々1次式という。)

また、②の両辺は全てのxについて成立するので、
xの恒等式である。

今、この関係式を使ってもう少し具体的に整式の割り算について
考えてみる。

A\left(x\right)を実数係数の3次式、B\left(x\right)B\left(x\right)=\left(x-\alpha\right)\left(x-\beta\right)

Q\left(x\right)Q\left(x\right)=\left(x-\gamma\right)とすると、

余りR\left(x\right)は高々1次式となるから、それを実数p,qを使って表せば、

R\left(x\right)=px+q

\therefore\textcircled{\scriptsize2}より

⑫

これはxの恒等式であるから、仮に\left(x-\alpha\right)で割るとすると、

その余りは、x=\alphaを式に代入したときと同じ値になるハズである。

13.

になる。

9.となって

\left(x-\alpha\right)で割った余りを求めるにはR\left(x\right)

x=\alphaを代入した値と等しくなる。

\therefore A\left(\alpha\right)=R\left(\alpha\right)
このことから

xの整式A\left(x\right)\left(x-\alpha\right)で割ったときの余りはA\left(\alpha\right)で表せる」
これを剰余定理という。

この剰余定理で特にR\left(\alpha\right)0となるとき、

それはA\left(x\right)\left(x-\alpha\right)で「割り切れる」ことを意味するから

\left(x-\alpha\right)A\left(x\right)の因数となる。
(因数分解とはxの多項式を\left(x-\alpha\right)\left(x-\beta\right)\cdotsの形で表すことを思い出して欲しい。)

このときR\left(\alpha\right)=p\alpha+q=0になるから③の例でいえば
5

10.

ここから
xの整式A\left(x\right)\left(x-\alpha\right)という因数をもつとき、
その条件はA\left(\alpha\right)=0である」
これを因数定理という。